文化・医療人類学
長崎大学大学院健康開発研究科 必修科目
平成20年度 後期 水曜日 2校時
授業のねらい/授業方法(学習指導法)/授業到達目標
・ねらい:文化・医療人類学では、途上国の健康や病の問題の社会・文化的側面への理解を深め、分析の枠組みをみにつける。
・授業方法:講義形式でおこない、ときおりディスカッションを交える。
・到達目標:文化人類学および医療人類学における基本的な概念群が理解されること。文化相対性に関する基本姿勢を身につけ、また個別の事象に対する人類学的な分析ができるようになること。
授業内容(概要) /授業内容
健康や病の問題は単なる生物医療的側面ではなく、人々の世界観、伝統的医療体系、社会文化資源などと密接に関連しており、このような社会文化的事象を考察する能力を養う。文化人類学的の理論的枠組みの理解と、より具体的には人間の身体、健康、病、癒すということについて、人間が持っている観念の多様性を知り、理解することを目的とする。研究の方法としてのホーリスティックなデータ、主として質的調査による情報の収集、文化の相対化を行う分析方法などを学ぶ。また、特に長期インターンシップとの関わりで、熱帯地域の地学や気候に関する基礎知識もこの科目で学習する。
授業内容
1:文化人類学者がフィールドで出会う「迷信的医療」と文化相対性概念、エティック/イーミック概念
2:進化主義人類学における「呪術」と「科学」
3:英国系人類学におけるフィールドワーク:マリノフスキーとエヴァンズ=プリチャード
4:生態環境と生業経済:地域別食生活の概説(1)
5:生態環境と生業経済:地域別食生活の概説(2)
6:家族形態と親族構造の概説
7:ライフサイクル:通過儀礼の一般モデルと割礼
8:女子割礼(FGM)とジェンダー
9:医療と身体の文化的解釈(1):セクシュアリティと民俗生殖論
10:医療と身体の文化的解釈(2):「診断」と「占い」:医療における体験と因果関係
11:医療と身体の文化的解釈(3):「苦悩のイディオム」としての文化結合症候群
12:医療と身体の文化的解釈(3):呪的思考システムにおける医療、神々、差別
13:開発・近代化と個別文化(1):バイオ・メディスンとエスノ・メディスン
14:開発・近代化と個別文化(2):近代医療の受容、拒絶、融合
15:「病」と「健康」の歴史的構築について
教科書・参考書
教科書は使用しないが、以下の書籍を参考図書として薦める。
・池田光穂・奥野克巳(編)『医療人類学のレッスン』学陽書房、2007
・Pool, R. & W. Geissler (eds.) Medical Anthropology. Open University Press.2005
その他、必要な文献については講義中に指示する。
成績評価
期末考査70%、○小レポート30%
(小レポートは数回おきに実施するもので、読書レポートおよび調査レポートなどを含む)。
国際保健学演習
長崎大学大学院国際健康開発研究科
基本的に火曜日の夕方〜夜に開講(ときに不定期)
来年度の長期インターンシップと課題研究報告のための準備を行う。
異文化共存論特講
長崎大学大学院生産科学研究科(前期課程)
平成20年度 後期 金曜日 2校時
授業のねらい
・世界(地球上の主として人間によって運営される界)が恒常的な戦争状態にあるなか、どのような形態であれ文化(cultures)は共存している。この講義ではグローバリゼーションと文化のハイブリッド化が進展する状況における人間のミクロな実践に焦点をあて、エスノグラフィーの読解と分析を行う。
授業方法(学習指導法)
・講義および購読発表からなる。。
授業到達目標
・ポストコロニアル研究、カルチュラル・スタディーズなどにおける諸概念を理解し、使いこなすこと。
・習得した分析枠組みを用いて、個々の研究テーマにおける事例分析ができること。
授業内容
現代の文化的状況についての講義のあと、下記の教材(5つの論文集)を用いて報告とディスカッションを行う。
1回目:現代の文化的環境をめぐる諸問題(1)
2回目:現代の文化的環境をめぐる諸問題(2)
3回目:紛争論(1)
4回目:紛争論(2)
5回目:紛争論(3)
6回目:事例報告とディスカッション(1)
7回目:事例報告とディスカッション(2)
8回目:事例報告とディスカッション(3)
9回目:事例報告とディスカッション(4)
10回目:事例報告とディスカッション(5)
11回目:事例報告とディスカッション(6)
12回目:事例報告とディスカッション(7)
13回目:事例報告とディスカッション(8)
14回目:事例報告とディスカッション(9)
15回目:総括
キーワード
ポストコロニアル論、カルチュラル・スタディーズ、文化人類学 紛争 文化混淆
【使用する教材】
・栗本衛生・井野瀬久美恵(編)『植民地経験:人類学と歴史学からのアプローチ』人文書院、1999年
・杉山敬志(編)『人類学的実践の再構築:ポストコロニアル展開以後』世界思想社2001年
・河合香吏(編)『生きる場の人類学:土地と自然の認識・実践・表象過程』東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2006年
・田中雅一・松田素二(編)『ミクロ人類学の実践:エイジェンシー・ネットワーク・身体』世界思想社、2006年
・西井凉子・田辺繁治(編)『社会空間の人類学・マテリアリティ・主体・モダニティ』世界思想社、2006年
成績評価の方法・基準等
事例報告(50%)、および講義運営への貢献・発言・議論への参加(50%)
環境人類学
長崎大学環境科学部 環境政策コース 専門科目
平成20年度 後期 木曜日 4校時(14:30-16:00)
講義のねらい/到達目標は以下の4点である
(1)生態環境−地域文化の相互関係についての研究枠組みが理解できること。
(2)人類学を含む人文科学の主要な学術用語を使用して論述できること。
(3)環境問題の異文化比較の視角と枠組みを使いこなせるようになる。
(4)環境学における他分野との関連づけ。
授業方法
ハンドアウトと映像資料を用いて講義を行う。毎回、講義に対するレスポンス・ペーパーを提出してもらい、授業への意欲、講義の理解度、学習の自主性、文章力を判断する材料とする。
授業内容
環境人類学は、「環境」を広く文化の問題としてとらえる、文化人類学の一分野である。本講義では、人類学の手法に則り、人類がどのように「環境」を認知・解釈・構築してきたのかを考え、さらに現代における環境問題への政治生態学的なアプローチを試みる。
1回目:文化人類学と環境人類学の位置づけ
2回目:人類学における「文化」と「自然」
3回目:三つの生態学(文化生態学、歴史生態学、政治生態学)
4回目:生業経済(1) 狩猟採集
5回目:生業経済(2) 牧畜
6回目:生業経済(3) 農耕(栽培植物と文化的多様性)
7回目:生業経済(4) 農耕(焼畑・遷移畑農耕)
8回目:認識の文化相対性
9回目:エスノサイエンス
10回目:近代世界システムと周辺社会
11回目:資源は誰のものか(1) 熱帯雨林における森林伐採と現地民
12回目:資源は誰のものか(2) 日本における周辺民アイヌと二風谷ダム開発
13回目:資源は誰のものか(3) アマゾンにおけるダム開発と先住民の戦略
14回目:環境多様性と文化多様性
15回目:まとめ
【参考書】
池谷和信(編)『地球環境問題の人類学:自然資源へのヒューマンインパクト』世界思想社、2003年
パトリシア・K・タウンゼント『環境人類学を学ぶ人のために』岸上・佐藤(訳)、世界思想社、2004年
秋道智彌・市川光雄・大塚柳太郎(編)『生態人類学を学ぶ人のために』世界思想社、1995年
成績評価
定期テスト70%、レスポンス・ペーパーの記述30%
・定期テストは概念・用語といった知識に関する問題、および講義で取り上げた事例研究についての論述問題からなる。
・レスポンス・ペーパーの記述内容(量、質、文章)を上記点数に加えて総合点とする。
環境政策演習B
長崎大学環境科学部(3年生ゼミ)
平成20年度 後期 木曜日 5校時
来年度の卒業露文執筆のための準備を行う。
環境政策特別研究
長崎大学環境科学部(4年生ゼミ)
平成20年度 後期 月曜日 16時くらい〜エンドレス
卒業研究の進捗状況の報告と執筆指導。
比較文化特講II
長崎外国語大学
平成20年度 後期 火曜日 2校時(10:40-12:10)
☆シラバス上のアウトラインは、県立大学(シーボルト校)の現代異文化交流論と同一ですが、進行に応じて適宜原稿を加えていきます。
現代異文化交流論
長崎県立大学シーボルト校
平成20年度 後期 木曜日 1校時
☆今年度からの新設科目です。講義のアウトラインは長崎外語大の比較文化特講IIと同じものですが、進行に応じて適宜変更を加えていきます。
授業概要
異文化交流などということがはたして可能なのか、可能だとすればどのような条件の下でのことなのか。この難問を解くためのツールを提供し、具体的な事例を示すことが本講義の目的である。講義全体は3つのパートからなる。問題提起を行う第1回に続いて、第2回から第5回までは日本の異文化交流について取り上げる。第6回から第8回までは近代国家と世界システムの形成を検討し、第9回から第15回までは民族問題を中心に「交流」と「衝突」のせめぎ合うさまを、理論と実例から検討する。
講義のねらい
・グローバルな環境問題に取り組むためには、日本一国だけに目を向けていては不十分である。また国際的な取り組みのためには異文化交流に関わる必議論のあり方を身につけなければならない。他者との共生のために理想や建前を語るのではなく、現代の社会・文化的状況やその歴史的背景をふまえた議論をできるようにすることが本講義のねらいである。
・文化の研究に関する基本概念を使いこなし、議論できるようになること。
・世界各地の具体的事例から、一般的な議論と行い、結論を導き出せるようにすること。
授業計画
1回目 異文化の交流は希望か、絶望か:ダルフールの虐殺について
2回目 日本文化とは何か(1) 「日本文化」のハイブリディティ
3回目 日本文化とは何か(2) 伝統と近代、世界へのまなざし
4回目 日本−アフリカ交流史(1) 長崎出島を介して
5回目 日本−アフリカ交流史(2) 近代日本にとってのアフリカ
6回目 大航海時代と奴隷交易:従属論と近代世界システム論
7回目 言葉が混じる、文化が混じる:クレオールについて
8回目 近代国家の作り方
9回目 エスニシティー研究(1)
10回目 エスニシティー研究(2)
11回目 エスニック・クレンジングの方法論(1)
12回目 エスニック・クレンジングの方法論(2)
13回目 エスニック・クレンジングの方法論(3)
14回目 異文化の交流は希望か、絶望か:多文化主義の実践
15回目 まとめ
評価方法
定期テスト60%、出席率20%、レスポンス・ペーパーの記述20%
・定期テストは概念・用語といった知識に関する問題、および講義で取り上げた事例研究についての論述問題からなる。・出席率はレスポンス・ペーパーの提出によって算出する。
・レスポンス・ペーパーの記述内容(量、質、文章)を上記点数に加えて総合点とする
現代文化問題特殊講義
神戸市外国語大学 通年科目(集中)
平成20年度 9月16日〜19日(終了しました)、12月24日〜26日
1.主題と目標
平成20年度の現代文化問題特殊講義では文化人類学のフィールドワークと、そのフレームワークを用い現代世界の理解の作法を学ぶ。
本講義では、担当教員(増田)のエチオピアにおけるフィールドワークを中心的な検討事例に据え、そこを出発点とする発見と理解と理論化の道筋をたどることとする。取り上げる事例は日本から直線距離でおよそ9986km離れたアフリカの農耕牧畜民であるが、彼らは決して我々日本在住者と無関係な遠い存在ではない。
「われわれ」と「かれら」の間には空間的にも文化的にも著しい違いがあるが、にもかかわらず我々は同時代を生きている。そしてなにより、同じ人類として文化の違いを受け止め、共存しあうための認識の枠組みが必要である。本講義ではそのための知的準備運動として、事例の紹介と検討の後に文化人類学的な脈絡における解釈を行い、異文化に接する態度と技を身につける。
2.評価の方法
前期よび後期にレポートによる評価を行う。また、授業後に回収するレスポンス・ペーパーも参考にする。評価比率は前期レポート(30%)、後期レポート(30%)、レスポンスペーパー+出席率(40%)である。
3.履修にあたっての注意
講師(増田)はエチオピアを専門とする文化人類学者である。文化人類学であるがために、理論よりは事例の検討に時間を割くつもりである。異文化についての学習に関心のない学生は受講を遠慮してもらいたい。
4.教科書
なし 。
5.指定図書
奥野克巳・花渕馨也(編)『文化人類学のレッスン:フィールドからの出発』学陽書房
アフリカ地域研究特殊講義 IIa
大阪大学外国語学部(3年生以上)
平成20年度 集中 8月6日〜8日 (終了しました)
サブタイトル「北東アフリカ・エチオピアの民族誌 」
授業のねらい
この講義では、北東アフリカのエチオピアにおける民族誌・文化人類学的研究に ついて講義する。講義を通じて学ぶ内容は以下の通りである。
(1) 他のアフリカ諸国と明確に異なる国家の成り立ちと、文化的基盤について の、一般的な理解。
(2) エチオピアにおける民族誌・文化人類学的な研究の概要。
(3) 講師(増田)自身による調査の経験を通した、エチオピア辺境地域について の理解。
授業の展開計画
1 講師の自己紹介、講義運営についてのガイダンス、エチオピアについての概 要
2 エチオピア入門(1) 言語、文化、民族分布
3 エチオピア入門(2) エチオピアの国家統合と近代化
4 エチオピア入門(3) 社会主義政権時代以降、現代まで
5 日本におけるエチオピアへの関心と、マスメディアにおける表象
6 南部における民族誌的研究(1) その概要
7 南部における民族誌的研究(2) 民族間関係論と民族紛争研究
8 南部における民族誌的研究(3) 中心/周辺論
9 バンナ(Banna)社会の民族誌(1)
10 バンナ(Banna)社会の民族誌(2)
11 バンナ(Banna)社会の民族誌(3)
12 バンナ(Banna)社会の民族誌(4)
13 バンナ(Banna)社会の民族誌(5)
14 バンナ(Banna)社会の民族誌(6)
15 まとめ
履修上の注意事項
講義は日本語で行います。文化人類学についてある程度知っていることが望ましいのですが、まったく知らない人でも分かるように講義を行うので、あまり心配は要らないでしょう。
評価方法
出席状況とレスポンスペーパー(50%)、レポート(50%)。
テキスト ・参考文献
岡倉登志(編) 『エチオピアを知るための50章』明石書店、2007年
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