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歪んで見える世界2(Nov. 30/2008)

 

 テロリストが人質と死のゲームを演じ、各国の通貨が第三次世界大戦の風説のなかで変動を続けている。そこここの国の大使館が炎上し、各地で機動隊が出撃体勢をととのえている。こうした状況のもとで、われわれは毎日の新聞の見出しを、恐怖にかられて見つめている。人びとの不安の反映である金の価格は、前代未聞の高騰を続けている。銀行経営の基盤が揺らいでいる。手のほどこしようもないインフレが猛威をふるっている。そして、世界各国の政府が身動きがつかなくなっており、無能ぶりを露呈している。

 これは最近書かれた文章ではない。アルビン・トフラーが1980年に発表した『第三の波』の冒頭の一段落を丸写ししたものだ。

 どうだろう。はじめて読んだ人は、30年前のことを記述した上の引用のほとんどが、2008年の今現在のほとんどに対応していることに驚くのではないだろうか。たしかに金相場は「前代未聞の高騰」というわけでもないし、さすがに今では第三次世界大戦を心配する声は聞かれない。『第三の波』が書かれた10年後には冷戦は終結しているし、世界のバックグラウンドは当時とはだいぶ異なる。
 
 にも関わらず、テロリストの活発な動きや、銀行経営の揺らぎ、そして何より「政府の身動きがとれない」状況など、びっくりするほど1980年と2008年の状況は似ている。

 これを「世界は何も変わっていない」と表すべきなのか、それとも「サイクルが一巡して同じようなウェーブがまたやってきた」と捉えるべきなのか、それとも、似ているのは表面だけで底流はまったく違うと考えるべきなのか。