Talk185:「告ぐ」
(Nov. 24/2009)
以下は「異文化交流論 受講生諸君に告ぐ」と題して、平成21年6月10日に環境科学部の掲示板に貼りだしたものである。以前にWork Journal4に掲載していたのだが、ご存じのようにwj4は消滅してしまったので、ここで再び掲載することにした。
この説諭文は私もそれ相当の覚悟を持って掲示した。というのも、こういう圧力的な態度は昨今、すぐにハラスメント的なるものとして受け止められてしまうからだ。これのどこがハラスメント的なのかさっぱり分からないが、近ごろは痛いところを突かれるとハラスメントで訴えてやる! と息巻く輩が多いらしいから気をつけなきゃならん。とはいえ、これは責任を持って教育業務に携わる以上はどこかで言わねばならないことなので書いたまでだ。
したがって、学生という存在を疎ましく思ったり、嫌ったりして書いたわけではない。教師の中にはけっこうな比率で「学生や生徒が大嫌い」だと言う人がいるようだが、私の場合は嫌いとか好きとかいったことは関係なく、ただ「自分の仕事をやり遂げるためには言わなきゃならないこと」があるから言う、それだけなんである。
ちなみに。以下の文では「受講を辞めても構わない、その場合はテキストを返却して欲しい」と書いており、実際、しばらくのあいだ私の研究室のまえには「返却ボックス」なるものを置いておいたのだが、誰も返しに来なかった。
異文化交流論 受講生諸君に告ぐ
異文化交流論、科目責任者の増田です。
六月三日の講義において、テキストの指定された箇所を読んできた人は、受講生百二十人中たったの四人でした。この理由として考えられるのは、
その一 君たちが学問をナメている。あるいは、
その二 出席するだけで、勉強する気などさらさらない。
のどちらかの表れだと私は考えます。
講義の際に申し上げたとおり、真剣に取り組む意志がない学生には受講して欲しくありません。必修科目ではありませんので、いつでも脱落できます。
異文化交流論テキストは、大変な労力を払って制作されています。よって「不要」であると感じている人がいたら、即刻受講を取りやめ(そのほうが自由時間が増えて皆さんにとってもよいでしょう)、配布しているテキストを返却してください。
返却ボックスは、増田の研究室の前に設置しています。
また、本日(六月十日)の講義では、ビデオ上映中の後方座席での私語が問題であったと報告を受けております。ほかにも、講義中に頻繁に教室を出入りする、断りなく途中退出するなど、受講態度として目に余るものがあります。
われわれ大学教員のミッションの一つは、品質の保証された真っ当な社会人として君たちを社会に送り出すことです。講義ひとつロクに受けられない学生を、どうして自信を持って社会に送り出すことが出来ましょうか?
平成二十一年六月十日
掲示された文書は「中楷書体」という格調溢れるフォントで縦書きに印刷し、末尾には私の自筆のサインを入れた。名前を書き入れて、しかも自筆サイン入りにすることで文書発行の責任の所在をはっきりさせることが狙いである。(学部には学生意見箱なるものがあって、ときおり投書があるのだが、なかには筆跡を隠すためかワープロ打ちのものがあったりする。名無しなうえにワープロ打ち……よほど無色透明になりたいらしい。)
この掲示については、数名の教員から好意的な御意見をいただいた。それとは反対のネガティブな反応は、私のところには直接的にも間接的にも届いていない。(ネガティブなことはたいてい間接的に聞こえてくるものだが・笑)
ついでながら、昨年、ゼミ生たちに送った「告ぐ」メールを改訂のうえ掲載しちゃおう。これは「シューカツ」が大学を休む理由になってしまうことへの怒りのメッセージだ。
明日(月曜)に予定されていた卒論ゼミはキャンセルです。直前の欠席の申し出などが相次いだためです。
就活関係での欠席はこれまで大目に見てきましたが、そもそも就職関連の活動というのは我々大学人の与り知るところではなく、しかも授業に参加しないことに対する何らの正当性も持たないものです。
したがって、就活関連で長崎を留守にするということがあったとしても、それは仕方のないことだとはいえ、堂々と学校を(しかもゼミを)欠席できるわけではありません。ましてや「懇親会」で欠席なんて、とんでもない。
みなさんが大学生であり、私がその指導教員である以上、私には皆さんを「きちんと完成した大学卒」として社会に送り出す義務があります。
多くの民間企業は、大学の新卒を採用しようとするわりには、そうした大学生たちが説明会や面接のために授業を欠席することには頓着しません。民間企業は、従業員が転職のための面接に正当な理由のない休暇を申請したりしたらどうするんでしょうかね?
かつてゼミの行事があって、うちのゼミ生が別の授業を欠席せざるを得なくなったときには、私はその担当教員(同じ学部です)に説明の手紙を書き、欠席を許可してくれるように依頼したものです。授業を欠席するというのは、それくらい重いものであって、みなさんが思うような「4回まではセーフ」といったものではないのですよ。
とにかく、今後、就職・就活関連でゼミを欠席するときには、事前にきちんと説明に来ること、可能であれば向こうからの依頼状を添えること、などなど、きちんと筋を通しましょう。「就活です」とか「会社の用事で」は、少なくとも私の前では万能ではないことをご理解願います。
そう、ご理解願いますよ、人事担当者各位。
そもそも人事担当者の多くは大学卒でしょ? 自分が卒業した「大学」なるものを軽んじるようなことを、平気でやっていいんですか?
前のページへ