Talk190:「おつかれさま」禁止令
(Aug. 10/2010)
教室に入る。学生たちも席に着く。お互いに「おつかれー」などと朝の挨拶を交わしている。
朝から何を疲れているというのだ?
授業が終わる。もちろん彼らの別れの挨拶は「おつかれー」である。そうかいそうかい、オレの授業ってそんなに疲れさせてるかい、とぼやきたくなる。
私の記憶では、人びとの間で「おつかれさま」が普通の挨拶になったのは1996年頃のことである。もっと前からだったかも知れない。当時勤めていた会社では、社内からの電話には「お疲れさまです」と一言添えるのが常識になりつつあった。
それを見ていた小学生も、次第に「おつかれさま」を挨拶がわりに使うようになった。だが、私からすると挨拶代わりに「おつかれさま」などという言葉を使ってほしくない。理由は簡単だ。以下の2点しかない。
(1) 「お疲れさま」は、目上の者からのねぎらいの表現だ。
(2) 挨拶表現というのは、そもそも形式に過ぎず、意味が空疎なものだ。
この原則2点を掛けあわせたうえで、「おつかれさま」が日常の挨拶として使われることを理解しようとすると、以下のようになる。
(3) 挨拶としての「おつかれさま」は、意味も気持ちも込めない空疎なものだが、そこに「ねぎらい」の殻だけが与えられている。
だが何よりも不愉快なのは、授業のあとに学生たちから「おつかれさまです」と言われることだ。教師をねぎらうなんて何様のつもりだ? その場にふさわしい言葉は「ありがとうございます」だろ?
よって、学生たちから開口一番「おつかれさま」を言われたら、今後はこう返すことにする。
「疲れてねぇよ」
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