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「こんじょの」というのがあった

(Sep.1/2003)

その昔、「こんじょの」という一人勝手通信紙を発行していたことがありました。1993年から1994年までのことです。たしか第8号くらいまでは続いたと記憶しています。「発行した」といっても、私がやっていたのは原稿を作るところまでで、それを日本に送ったら、あとは印刷と郵送は任せきりでした。発送先は30人ほどで、大学の友人や先生、その他の知人、そのまた知人といったふうに一方的に送り付けていたのです。あとでその中の一部はサークルの外部に流出し、思いも寄らないところから「こんじょの、読んでましたよ」と声をかけられたこともあります。

「こんじょの」は私が初めてエチオピアに行ったときに、そこで見聞きしたことをワープロとイラストでまとめたものでした。いまも手元に原稿が残っていますが、恥ずかしくてとても陽の当たるところに出せません。そのなかのほとんどは独善的で、いま思っても「あの頃は若かったなあ」ではすまされない恥ずかしさで満たされています。

なんであんなものを書こうと思ったのか、そして、なんであんな阿呆らしいものを人びとに送り付けていたのか、いまとなってはよく思い出せません。あれのせいで友達を何人か失ってやしないかと心配です。

さて、「こんじょの」は1994年春で一度休刊し、そのまま眠りにつきました。日本に帰国した私は当時最新のWindows 3.1を搭載したパソコンを買い、パソコン通信にいそしみました。巷ではホームページを開設する人びとが増え、情報を発信することがいかに重要であるかが力説されていました。

ネット上にサイトが林立し、友人・知人たちが自らのホームページを立ち上げているのを眺めながら、しかし私は、なかなか自分のサイトを開くという「あと一歩」が踏み出せませんでした。面倒くさかったこともありますが、なによりもホームページなんて、しょせん俺が「こんじょの」でやってたことだと見切っていたからです。

さて、なんだかんだいって、結局"lalombe"のサイトを立ち上げます。しょせん「こんじょの」みたいなものですが、当時と違うのは、貧弱ながらもそこそこ表に出せるだけの研究実績を積み、大学でも講義をもち、博士号も取り、そして私のようなアナログ人間でもサイトが立ち上げられるだけの準備が整ったことです。ここは私の人類学者としてのアピールの場ですが、サイトの名前には社会人類学博士・増田研ではなくて、私のバンナ名ラロンベを採りました。だって、なんだか本名出すのってはずかしいでしょ。