やっぱりケータイが好きじゃない
(Sep.15/2006)
携帯電話については、このTalkの初期の頃に何度か書いた。いまでも私はケータイが得意ではないし、どちらかといえば好きでもない。携帯電話ではなく、ケータイ、と表記するのは、普段このように呼んでいるという意味においてすでにこの言葉がフォーク・ターム(民俗語彙)と化しているからであるが、同時にその使われ方に対して軽蔑の念を覚えているからでもある。
たとえば、自分の携帯電話をどう呼ぶか。「おい、ケータイ!」って呼んでやると、いかにもバカにした感じがするだろう。実際「ケ・−・タ・イ」とカタカナを並べていると、この名前はいかにもバカっぽい。
以前にこのTalkで書いた頃よりは、たとえば電車のなかでケータイをピロピロ鳴らすバカは減ったようだが、それでもいまだに根絶されていない。今日のニュースによれば、電車の中でのケータイ使用を「問題なし」と感じる高校生が5割いるそうだ。ということは、「問題あり」と思いつつ使っている人間を考慮に入れると、半分以上の高校生が公共交通機関のなかで電話していることになる。
日常的に飛行機を使っていると、この辺のマナーの不徹底がよくわかる。
航空機に乗る際には、あらかじめケータイの電源を切っておくというのは常識だし、航空会社も口を酸っぱくしてアナウンスしている。なのに、ゲートをくぐって乗り込むまでの間もケータイをいじりながらトロトロ歩いている人間がじつに多い。
先日など、ケータイ画面に食い入るように見入っている女がいたので、いったいどんな緊急の要件なんだろうと思い、画面を覗いてみたら、その女はコミックを読んでいた。ケータイで読めるコミックである。
ときどきマンガ雑誌を読みながら自転車を運転しているヤツがいるだろう。あれと同じだ。迷惑千万、危険きわまりない。(私は長崎で、ハンドルに漫画本を置いて読みながら運転しているバカを目撃した。しかも若葉マーク)。
飛行機に話を戻せば、飛行機に乗り込んでからもメールチェックをしてるんだかなんだか、ケータイをいじっているヤツを見かける。8割は若い女だ。着陸の時だって、本当は飛行機を降りるまで電源を入れてはいけないことになっているのに、着陸した瞬間にケータイを取り出して電話をかけるヤツがいる。これも8割以上が若い女だ。
大学はどうだろうか? 私自身が東京から長崎へと移ってしまったので単純な比較は慎むべきなのだろうが、それでも、地域差を度外視して考えるならばさすがに今では授業中に着メロを鳴らすようなバカはいなくなった。だが、「授業中にケータイを鳴らしてはいけない」というのを、「鳴らさなければいい」と誤解しているのか、きっちりマナーモードにしてブルブルいわせているのがけっこういる。これが大教室での講義だけでなく、少人数のゼミ形式でもそうなのだ。
しかも、そうやって授業中もブルブルいわせているヤツの大半は、着信があると机の下で画面を確認している。せまい演習室で、着信の「ブルブル」はたとえカバンの中に入っていてもよく聞こえる。それをほんの目の前でメールチェックされてご覧なさい。教師辞めたくなるから。
ケータイで電話をかける時はすごく気を遣う。相手は寝てるんじゃないか、オレの電話で起こしちゃうんじゃないかとか、相手は仕事中じゃないかとか、相手は授業とか会議とか、そういうのの最中じゃないか、もし相手が完全沈黙マナーモードにしてなかったら、オレがメールを送ることで相手が慌てちゃうんじゃないか、とか。そんなことばかり。
実際、寝ている相手に電話をすれば不機嫌な対応をされる。
その逆で、何度コールしても相手が出てくれない、というのも悲しい。自宅に電話しても呼び鈴が鳴り続けるのは、「留守だ」と解釈すれば済む。だが、朝、昼、晩、深夜と電話して出てもらえないのは「避けられているんだ」という邪推を生む。なにせこちらは発信元番号を送ってるんだから。
ナンバーディスプレイもいい気がしない。発信元番号を表示可能(つまり186発信)にしないと出てくれないところがある。はじめてそういうものに接したのは昔通っていた歯医者だったが、あたかもガードマンによって門前払いを食わされている気がして、その後二度と行かなかった。(おまけにその歯医者は、最初は「マスダさん、きれいな歯並びしてますね」っていったくせに、3年経ったら「あんたは歯並びが悪い」って言ってくれた。S/Oという駅から歩いて5分くらいのところにある、おばさんがやってる病院だった。)
思い起こせば、あの「キャッチホン」が登場してからというもの、電話は違うものに変わってしまったのだ。キャッチホンは嫌いだったなあ。だって電話って一対一で話すものでしょ? それを途中から割り込まれてご覧なさい。キャッチホンを導入している側は「割り込んできた方の要件だけ聞いてしまえばこちらの話に専念できるからいい」などという言い分があるらしいのだが、それは「ちょっと待っててね、いまキャッチが入ったら」って言う側の論理であって、言われる側はたまったものではない。
たとえばデートの時のことを考えてみよ。デート中、相手が常にケータイを手放さなかったら? しょっちゅう友人やら仕事やらの電話がかかってきたら? その電話を彼女(彼氏)がいちいち取っていたら? メールが入るたびにチェックして、返信文を書いていたら? 手料理を振る舞っているのに、そっちのけでメール書きに没頭していたら?
若い人たちだったら、たぶんやるだろう。相手がそんなことをしていても気にもとめない、という人もいるだろう。なにせ10人しか学生のいないセミナーでメールをチェックできるんだ、彼らは。
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