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銀塩懐古

(July 30/2007)

 はじめてデジタルカメラなるものに触れたのが2001年頃。自分のコンパクトデジカメを買ったのが2004年。いまではデジカメは2台目(2代目)を使っている。

 すでにフィルムのカメラで写真を撮ることなど、まったく無くなってしまった。マニュアル露出の勘もすっかり奪われてしまって、せいぜいオート露出に補正をかけるのが関の山という有様である。

 もちろんコンパクトデジカメを使うことのメリットは大きい。

 カメラが小型なのでどこにでも持ち歩けるし、気軽にスナップ写真が撮れる。フィルムの残量を気にすることもないし、そもそも予備のフィルムを持ち歩く必要もない。現像はカメラの中で行われてしまうので、写真の出来や構図もすぐに確認できる。

 もちろん不満は多い。いま使っているリコーGR Digitalという機種は素晴らしいコンパクトデジカメだが、ファインダーが無く、液晶モニターしか搭載していないので、きちんとした構図決定がやりにくいうえ、ピントの確認もいい加減になってしまう。安全のためひとつの構図で何枚か撮っておいて、コンピューターのディスプレイ上で確認するまでピントについては安心できない。

 デジタルの色も気に入らない。フォトショップか何かのソフトウェアできちんと仕上げをすれば良いのだろうが、そういう高度なことは私には無理だ。光の加減によって妙に眠たい色になるし、アフリカで撮った写真など、まるでペンキ画のようなのっぺりした色になってしまう。

 こう考えてみると、デジタルに乗り換えて「手軽さ」を手に入れたことで、それと引き換えに「絵作り」を手放した、ということになるのかもしれない。

EM.JPG

 ニコンEMは私がはじめて使った一眼レフカメラである。これは亡き祖父が趣味のために買ったものの、結局ほとんど使わずにいたものだ。マニュアル露出が出来ないとか、シャッターの振動が大きいとか欠点も多いのだが、いま見ても、このカメラの美しさにはほれぼれとさせられる。

SR1.JPG

 このミノルタSR1(後期型)を、どこから手に入れたのか、いまとなってはよく思い出せない。祖父の遺品のなかにあったのか、それともどこかから譲り受けたものなのか。

 はっきり覚えているのは、これのほかにも何台かの古いカメラとレンズを一度に手に入れて、薄汚れたそれらを拭いてキレイにしたことである。雑巾は真っ黒になった。

 装着しているのは21ミリの広角レンズ。上に飛び出している外部ファインダーで構図を決めて使うのだ。このレンズで撮った写真は、たとえば、こうなる。

talk155.jpeg

 ところで、はじめて自分の金で買ったカメラはOM-4だった。中野の中古カメラ店で手に入れたもので、野鳥の撮影にフル稼働だったが、撮影現場で三脚ごと倒れて地面にたたきつけられてしまった。その後釜として手に入れたのは、チタンで武装したOM-4Tiという機種である。これは最初のエチオピア調査の主力カメラだった。

 いま思えば、OM-4とOM-4Tiのファインダーでの露出確認はほんとうにやりやすかった。とくにOM-4のスポット測光は素晴らしかった。

 そのOM-4Tiは、最初のエチオピア調査から帰ってきたあと、いくつかのレンズと一緒に売り払ってしまった。それと入れ替わりに手に入れたのがOM-1 である。露出計はついているが、マニュアル撮影しかできないシンプルなカメラだ。これにZuiko 90ミリというマクロレンズを付けて、どれだけ多くの写真を撮っただろう。

 その90ミリレンズも、いつだったか、金に困って売ってしまった。もう一度手に入れたいのだが、中古相場でも値段が高くて手に入れられない。この写真で OM-1に付けてあるのはタムロンの28ミリである。過去20年間でもっとも使い込んだレンズだ。相模原のとある量販店で、中古品の棚にあったものを1万 8000円くらいで買った。

OM1.JPG

 そうそう、コンパクトデジカメを使っていてなんとなく違和感を感じていたことがある。構図の勘どころがつかめないのだ。その原因が絵の「縦横比」だと気が付いたのは、ほんの半年前である。35ミリの、あの横長のフォーマットの感覚を引きずったままだと、デジカメの妙に落ち着いた4:3比率の絵にはしっくり来ない。